第22回大山康晴賞授賞式 2015年9月8日(火)都市センターホテル(東京都)

第22回大山康晴賞受賞者

個人分野
長田 嘉郎 氏 謝辞(全文)
(約100名が来場した式は、日本将棋連盟谷川浩司会長の挨拶、大山康晴賞選考委員代表の東京将棋記者会会友島田良夫様から選考経過報告があり、賞状、正賞(銀製の記念扇子)、普及功労金の授与、祝辞、各受賞者謝辞へとすすみました
以下掲載は、受賞者 長田嘉郎氏の謝辞です。この度長田氏は病床にあり、福島県支部連合会 武蔵正憲会長が代理出席、代読いたしました。一日も早い回復をと願うばかりです。)

受賞御礼

この度は大山康晴賞という、身に余る光栄を賜り、厚く御礼申し上げます。

私の人生を振り返ってみますと、多くの有能な方々に支えられ、非常に恵まれた人生を送ってきたものだと、我ながら感心しております。と共に、支えて頂いたすべての方々に、この場をお借りして御礼申し上げたいと思います。皆さんを前にしてわたくしが言えることは多くありませんが、育った時代のせいでたくさんのことを経験してまいりました。わたくしの幼少期、日本は世界を相手に、変革しようと挑戦しておりました。そのような、理想的な世界が訪れるものと、信じていた一人でした。昭和十九年、予科練に入隊を果たし時は、一身を国に捧げるという思いで満ちておりましたが、日本の敗戦という、いまの時代には理解しがたい経験をしてまいりました。その後、家業の理容店を営みつつ、将棋を唯一の趣味として、昭和三十八年の、東北六県将棋大会大将戦で、全勝優勝することができ、そのとき知人の詩人に贈られた詩に

「ゆるぎなき 不敗の構え身につきて まさに火を吐く盤上の駒」

私の将棋に対する思いを、見事に汲み取っていただいた詩です。本当に私の周囲には、有能な方々が多く、その方々に可愛がられ、支えられてきたものだと痛感しております。

今この栄えある賞を受けるにあたり、わたくしが感謝申し上げたい方々、それはわたくしを支えてくれた棋友であり、亡き妻であり、わたくしの子供たちであります。わたくしは、もとより大山康晴賞十五世名人の、名を冠する賞を受賞するに値する人間ではありませんが、わたくしを陰に日向に支えてくれた多くの人々、多くの愛弟子、多くの縁者。多くの多くの私に連なる人々に感謝を込めて、この将棋界に燦然と輝く、大山康晴賞を胸にいだいて、旅立ちたいと心より思っております。

また島朗先生、鈴木環那女流プロを始めとする、多くの棋界関係者の皆々様、そして長年、福島県支部連合会を、支え続けていただいた支部長、会員の皆々様方、こんなわたくしを支え続けてくれて、ありがとうございました。

最後に現在病床に伏せているわたくしは、こんなに素晴らしい皆々様に支えられ、最後まで長田嘉郎として、生き永らえてくれることができました。皆々様とは最後の別れが近づいておりますが、これまでのご厚情に感謝いたします。

今後、ますますの将棋界の発展と、皆々様のご健勝とご多幸を祈念いたしまして、受賞の御礼といたしたいと思います。本日は誠にありがとうございました。                    長田 拝




 

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